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秋のミツバチの管理ミツバチの数を維持する季節。

冬を乗り切るための下準備

皆さん、夏バテしていませんでしょうか。
夏はミツバチにとっても厳しい季節ですので、給餌とともに暑さ対策も必要です。
一日中直射日光が巣箱に当たる場合は、巣箱にムシロ(ワラを縦横に編みこんだ敷物)などをかけて日除けの処置を続けましょう。

さて、初秋から晩秋にかけてのミツバチの管理のポイントは・・・
いかにミツバチの群れの勢いを落とさずに維持するかにあります。
やがてやって来る冬を乗り切るためには、出来るだけ多くのミツバチを保つ必要があります。
春の時季のミツバチが増える勢いとは違い、秋は世代交代程度にとどまりミツバチの数はあまり増えません。
何もしなければミツバチの数は減ってしまいます。
そうならないためにも、これから挙げる5つのポイントを参考にミツバチの管理をしましょう。

こまめにエサを与える

ミツバチが成長する上での骨格形成には、花粉に含まれるタンパク質が必要になります。
秋の花が咲き、ミツバチはその花粉を混ぜて貯蜜するので、この時季はタンパク質が豊富な蜜が貯まり、秋のミツバチの伸び具合に効果があり、また越冬中のエサとしてや越冬明けの育児にも非常に役に立ちます。
そのため、秋のこの時季にこまめに給餌してあげることが重要なのです。
秋が深まり、花から分泌される蜜が少なくなってから慌てて給餌し貯蜜させても、ミツバチは給餌した砂糖水を分解せずにそのまま巣の中に貯めこんでしまいます。
そうなると、分解が不十分なままの貯蜜は冬に入り巣の中で結晶してしまい、このような状態になるとミツバチたちは食することが出来ず、越冬中に餓死してしまいます。

こまめにエサを与える(補足)

前述にもあるように、春先に比べて秋は花から分泌される蜜量が少ないためこまめな給餌が必要ですが、地域によってはソバ、クズ、ハギ、ウド、セイタカアワダチソウなどが咲き、採蜜ができるほど貯蜜が増えることがあります。
そのため、その貯蜜によって女王バチが卵を産みつける場所(産卵圏)がなくなってしまいます。
こういった場合には、空巣脾を巣箱に入れそこに産卵させるようにしてあげてください。
その際、貯蜜が多いからといってせっかくの貯蜜を分離器で抜くことは控えてください。

巣脾の整理をする

秋が深まるにつれ、産まれてくる若いミツバチよりも夏を越して死んでいく老いたミツバチの数が増え、巣箱の中のミツバチの量はだんだん寂しくなっていきます。そこで、ミツバチの量に対して余分になった巣脾を取り出す必要があります。
継箱(巣脾入り)でミツバチの飼育をしている場合、ミツバチは上段の継箱に生活圏を移動させるため、下段巣箱の巣脾には産卵やハチの赤ちゃんも居なくなります。【下図1】
こうなれば、下段巣箱内の空っぽの巣脾を取り出し、上段継箱に生活圏を移動したミツバチの巣脾を下段の巣箱に下ろし巣箱のみの状態にします。【下図2】
そして、ハチの赤ちゃんがいる巣脾を巣箱の中央に寄せ産卵圏を保護し、さらに不要となった巣脾を取り出して出来るだけミツバチたちを密集させて巣箱の中の温度を保ちます。【下図3】

寒さ対策

夜間の冷え込みが強まるにつれて、巣門(巣の入り口)の幅を狭めて巣箱への冷気の侵入を防ぐことも必要です。
巣脾枠を寄せてある側に、新聞紙やスポンジを詰め込んで巣門の幅を1/2程に狭めれば良いでしょう。

巣箱周辺の観察

この時季は、ミツバチの最大の天敵であるスズメバチの来襲やダニなどが多く発生しますので、巣箱の中だけではなく巣箱周辺の観察もこまめに行い、なるべくミツバチの群れの勢いを落とすことなく越冬態勢に入れるようにしましょう。

冬のミツバチの管理