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研究トピック

No.5臨床試験で確認されたローヤルゼリーの機能性

ローヤルゼリーは働き蜂が女王蜂を育てるために分泌するゼリー状の黄白色の物質で、これを摂取して育った幼虫は、女王蜂に分化します。女王蜂は、働き蜂に比べて身体が一回り大きく、寿命も長く、さらに生殖能力が発達します。一方、ヒトとローヤルゼリーとの歴史は古く、19世紀に入ってローヤルゼリーを使った製品が開発・販売され、今日まで医薬品あるいは健康食品として広く利用されてきました。また、ローヤルゼリーは、様々な薬理学的活性を持つことが種々の動物試験において確認されています。しかしながら、ローヤルゼリーの厳格な臨床試験は十分に行なわれていませんでした。

アピは、岐阜大学医学部を主幹とした臨床試験に参画し、高齢者におけるローヤルゼリーの効果を確認しました。6か月間ローヤルゼリーを含むドリンクを飲用した被験者では、赤血球生成、耐糖能、心の健康の改善効果が認められました。この成果は、「Nutrition Journal」誌に掲載されました(2012年9月12日電子版公開)。

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今回の臨床試験は、厳格に管理された無作為化二重盲検プラセボ対照試験として実施されました。61名の健康なボランティア(42~82歳)が登録され、無作為にローヤルゼリー摂取群と対照群(プラセボ摂取群)に振り分けられました。ローヤルゼリー摂取群(31名)の方にはローヤルゼリー3,000mgを含むドリンク(100mL)を、対照群(30名)の方にはローヤルゼリーを含まない同じ味のプラセボドリンク(100mL)を、一日一本、6か月間飲用していただきました。なお、試験を開始する前に健康診断および各種血液検査を行いました。その結果、ローヤルゼリー摂取群と対照群でアンケート調査(SF-36)による身体機能(PF)と心の健康(MH)の2項目のみ差がみられましたが、これら以外の項目に差はありませんでした。

ローヤルゼリードリンクあるいはプラセボドリンクを6か月飲用後に同様の検査を実施し、各項目について飲用前との差を算出し、変化量として表しました(表1)。なお、検査値の分布が対数(log)変換すると正規分布に近づく評価項目は、log変換してから解析を行いました。ローヤルゼリー摂取群では赤血球数、ヘマトクリットが高値を示し、赤血球生成の促進作用が示唆されました。また、log空腹時血糖値が低値を示し、logインスリン分泌指数が高値を示したことから、ローヤルゼリー摂取により血糖値上昇に対するインスリンの分泌が促進されること(耐糖能の改善)が示唆されました。さらに、ローヤルゼリー摂取群では、アンケート調査による心の健康(MH)の値が対照群に比べて高値を示し、心の健康が改善されることが示唆されました。

表1.6か月飲用後の各種検査結果の変化量

ローヤルゼリー摂取群では、対照群に比べて、log DHEA-S(デヒドロエピアンドロステロン硫酸)が低値を、logテストステロンが高値を示しました。このDHEA-Sはテストステロンの前駆体であり、ローヤルゼリー摂取により変換酵素(3-HSD2または17-HSD3)が活性化され、DHEA-Sからテストステロンへの変換が促進されたものと考えられます(図1)。

テストステロンは数種の貧血の治療に用いられており、動物試験においてはインスリン分泌を高めるとの報告があります。さらに、加齢男性性腺機能低下症候群患者においては、テストステロン補充療法による心の健康の改善効果が確認されています。したがって、ローヤルゼリー摂取による赤血球生成、耐糖能、心の健康の改善効果は、DHEA-Sからテストステロンへの変換が促進され、テストステロンが増加したことによる二次的な作用と推測されます。

図1.DHEAからテストステロンへの変換過程

Effect of royal jelly ingestion for six months on healthy volunteers
Hiroyuki Morita, Takahide Ikeda, Kazuo Kajita, Kei Fujioka, Ichiro Mori, Hideyuki Okada, Yoshihiro Uno, Tatsuo Ishizuka
Department of General Internal Medicine, Gifu University Graduate School of Medicine
Nutrition Journal 2012 Sep 21;11(1):77.
http://www.nutritionj.com/content/pdf/1475-2891-11-77.pdf